2011年09月22日

雪の行軍 もやしっ子編

 これは一つ下、台風による帰宅困難に関する記事を書いていて思い出した話です。随分前になりますが、一度えらい目にあったことがありました。


 冬、あるいは春先だったでしょうか。当時、私は横浜市北西部、JR横浜線沿線の実家に住んでおりました。その日は五反田の現場、5階の窓のない部屋に缶詰状態となっていまして、夕刻になってようやく開放されたのです。安堵しつつ部屋から出た私は、そこで絶句することになりました。

「えー!? ま、真っ白じゃんか」
 大きな窓の向こうは、降りしきる大粒の雪で真っ白、というより一面灰色になっていました。慌てて駆け寄って見下ろした道路は、既にかなりの積雪となっています。

「こ、これはやばい……」
 慌てて駅に行ってみると山手線はかろうじて動いているものの、地元の横浜線、それ以前に横浜に向かう電車はことごとく止まってしまっています。そんななかただ唯一、新幹線だけはまだ運行を続けているようでした。

「直帰だ! 直帰しかないっ!」
 悩んでいる暇はありません。私はすぐさま山手線に乗り東京へ、そこからノロノロ運転の新幹線で新横浜まで辿り着いたのです。その時点で空は完全に暗くなってしまっていました。

(・へ・;;)うーむ・・・・

 さて、どうしますか。地元の電車が止まっている事は既に分かっています。タクシーに乗れれば話は早いのですが、乗り場に行ってみると案の定の状態でした。あの行列、何人ぐらい並んでいたんでしょうか。100人どころではないです。暫く様子を見てみたのですが、タクシーはおろか、バスすら全くロータリーに入ってきません。

 これは当たり前の話なのです。新横浜の駅は東側は丘、南側はJR在来線、北側は東急東横線、西は鶴見川に囲まれておりまして、どこへ抜けるにも急勾配の橋を越えなければならないのです。開発の進行に伴って、今では太く平坦な道が西へと繋がりましたが、当時はそれも存在していませんでした。つまり、ある程度以上の積雪があると、車が陸橋を越えられなくなってしまうのです。雪はまだ止んでいませんし、夜になって気温も下がってきています。おそらく、いくら待ってもタクシーやバスは駄目でしょう。

「……泊まろう」
 財布には痛いですが仕方がありません。私は某ホテルに目を付けました。もしも運が良かったら、まだ部屋が空いているかもしれません。早速、フロントへ向かいます。

オオーw(*゚o゚*)w

 そこはもはやバーゲンセールの如き人だかりとなっていました。他に二件のホテルを回りましたが、いずれも同様の状況。空き部屋どころではありません。


「仕方ないなあ。嫌だけどなあ。でも、帰らないとなあ」






 はい、歩きましょう! それしか帰宅手段はないのですから。選択の余地はないです。ずっと外にいるわけにもいきませんしね。

 私は覚悟を決めて、傘を差して歩き始めました。駅から県道に入ると、周囲には多くの人が私と同様に徒歩での帰宅に挑戦しています。信号やら足元が悪いことによる歩行者渋滞などで、人並みはやがてひと筋の、長い長い行列となっていきました。

 こうなってくると、周囲の人たちとはお互いに戦友のようなものです。仲良くなったりしても良さそうなものですが、いやいやそんな事はありませんでした。皆、一様に無言で黙々と歩きます。早く帰りつきたいのですよね、きっと。それになにしろ寒くて顔や指先が痺れますし、余裕がないのです。

 そんな行列はしかし、歩を進めるうちに一人減り二人減り、段々と前後の感覚が開いていきました。新横浜駅から実家まで約8キロくらいでしょうか。県道から実家に続く脇道に入った時には、周囲に人影は全くなくなっていました。もうその頃には傘も差していなかったと思います。止んだからではなくて、重みで腕がつらくなってきたんです、確か。

 『 八甲田山 』という映画をご存知でしょうか? 私は一人歩きながら、その数々の場面を思い出しておりました。実に大げさです。が、雪に慣れていない私にとって、積雪の道を長時間歩くというのは本当にきつい体験でした。雪国の方々には笑われてしまうでしょうが、これはあれから何年も経った現在でも、南関東においては変わらない現実だと思います。


 結局、二時間半以上歩いて、私は実家に到着いたしました。真っ白になって帰宅した私を迎えた両親の、驚いた顔が忘れられません。その後の風呂はもう天国でしたねえ。ただ、手足の痺れが痛くて、身体が慣れるまで大変だったのを覚えております。


 以上、昔の冬の思い出でした。お粗末でした  m( __ __ )m
ラベル: 電車 帰宅困難
posted by omune at 00:30| 東京 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 雑感 | 更新情報をチェックする
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